【姉妹対談vol.2】お店の移転後の変化とこれから-後編-

私たち姉妹が気になることを発信する「KIRA CLOSET journal」。
今回は、姉妹と長年の付き合いがあるライター“宮氏”を聞き手に
前回に続いて、これからの話などの姉妹対談をしました。

※今回は【姉妹対談vol.2-前編-】の続きです。

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40歳になって人生の幕が開いた感じ

 

―“妹離れ”したことで、誠子ちゃんの視点がお店だけではなく世の中にも向いたような気がするけど、どう?

誠子(以下S):それはあるかもしれない。私はあきらのこともすごいと思っているけど、私の周りにいる人や一緒に仕事をしてきた人のことも同じようにすごいと思っていて。たとえ同業でも、ライバル意識とかがまったくないから、知り合いの名前を記事のクレジットで見つけると純粋に嬉しい。「この人すごいでしょ!」と、勝手に思っているところがある(笑)。それは、一緒に仕事をしてきた人たちのすごさを、私が誰よりも理解していると思っているから。

あきらに何かあったら私が何とかしよう、という気持ちは変わらずにあるけど、あきらが自分の力でなんとかしていくと思えるようになったから、私は周りにいる素晴らしい人たちや世の中の方に意識が向かっているというのは、確実にあると思う。

あきら(以下A):「妹離れしろ」と言ってくる人もいたもんね。私は、誠子ちゃんを見てて、本当にいろいろなことを次から次へとよく喋るなぁ~、よく考えるなぁ~とずっと思ってた。しかも私は、それを一気にバーッと聞かされる(笑)。

S:考えることは私の趣味だから(笑)。私が感じているあきらのすごさをどうやって見せていくのかは、私のライフワークだった。それが去年くらいで吹っ切れたというか、卒業した感じ。

A:そこは、私が本当に言葉にするようになったからだと思う。「今の課題はこれ」とか、「これは今はやる気がないから他を考えよう」とか。

S:確かに。だからこそ、大丈夫かなと感じたんだと思う。あと、私はずっと前から自分の人生は40歳からだと思っていて、実際に40歳になったことも気持ちの変化としては大きいかな。

―それ、知り合った20代前半の頃から言ってたね。「私の人生は40歳からだ」って。

S:これまではいわゆるゲネプロ(本番仕様のリハーサル)みたいな人生だったと思っていて、もちろん実際は本番なんだけど、40歳になってやっと幕が開きましたよ、という感覚。私がやりたいと思うこと、力を入れたいと思うことは、必ずしもあきらがやりたいことと同じではないし、わざわざ一緒にやる必要はない。もちろん、あきらも興味があることは一緒にやるかもしれないけど、今やっていることとはまったく違うことをやろうと思っているから。

セクシャルウェルスを意識しながら、五感を刺激する試みをしていきたい


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―KIRA CLOSETとは別に、k companyを立ち上げたのも別の方向性でやりたいことができたから?

S:そうそう。ちょうどフェムアートというプロジェクトを立ち上げて、40代はそれをメインにやっていこうと考えていたから、そうなるとこれまでとはやり方を変えていかないと……と考えてて。そんな中で、40歳になる直前に、「会社を作らないか」という話をしてもらったのが最終的なきっかけになって、k companyを設立することになったというのが、簡単な流れ。

A:私は、会社を作る話を聞いてタイミング的にすごくいいと思った。私に構っていた能力を他で活かすべきだと思っていたし、誠子ちゃんにとっての次の展開だなと。私が苦手な、ちゃんと考えをビジネスにできる人だと思っているから。

―新しい会社ではどんなことをするの?

S:フェムテック、もっと言うとセクシャルウェルネスというジャンルをやりたいと思ってる。セクシャルウェルネスは、すごく簡単に言うと「身体的にも精神的にも健康であり、社会的立場においても家庭的立場においても健康である」ということ。心身の健康とともに、立場としても健康であることで、それはつまり人権につながること。だからこそ、自分で自分の身体を知ること、例えば、自分がどれだけ頑張ったらギブアップしてしまうのかを知ることが必要だと思ってる。自分が追い込まれてしまわないように、コントロールの仕方を知ることは大切なことだから。

そういうコントロールは、みんな当たり前のようにやっているけど、それを意識してやることを重視してる。“意識する”ということもある種の行動だし、嫌な思いをしたならばなぜ嫌だと思ったのか、楽しかったり面白かったりしたのはなぜかを、嚙み砕いていかないと、自分の本質にはたどり着けないと思ってて。五感を刺激することで自分を知ることにつながると思っているから、そういうことを発信していきたいと思ってる。

A:その流れで言うなら、私が提供したいと思っているのは豊かさ。衣類は何を選んでも生きていけるんだけど、自分に合ったものを選ぶと心地いいし、気持ちが豊かになる。そういうことを知ってもらいたい。誠子ちゃんのやろうとしていることは、もっと本質的なことで、私のやりたいことはどちらかというと付随しているもの。彩りの部分。

S:私がやりたいことは“より”楽しく生きるためのもので、あきらは“よりより”楽しく生きるためのものという感じだよね。

 

五感を刺激することは自分を知るきっかけになると思う

―“より”楽しく生きるためのセクシャルウェルネスやフェムテックの発信の方法として、どんなことを考えてる?

S:会社を設立する前に立ち上げたフェムアートは、まさに五感を刺激しながら学んでいくプログラム。知識として持っていると安心できるのに、フェムテックの領域は当事者にならないとアクセスしない傾向があると思っていて。でも、不調があろうがなかろうが、男性だろうが女性だろうが、知識として持っていると暮らしの質の底上げになるし、人生がより健康に進むはずだから、当事者以外でもアクセスしてもらえるようにするためには……と考えて、五感を刺激するプロジェクトをやろうと。五感を刺激されると行動に移しやすくなるかなと思って。

一人でできることは限られているけど、今までいろんなクリエイターと仕事をしてきたから、そういう人たちと組むことでより広がっていくことも、経験を通して分かってる。だから、例えば、ワークショップという形で何かを創作したり、メーカーさんと組んで知識を授けている試みをしてみたりしながら、みんなの五感を刺激していきたい。五感を刺激するのに、クリエイターの才能はすごく有効だと思うから。

―五感を研ぎ澄ませることが、自分を知っていくきっかけになるはず、と。

S:そう!そのうえで、自分の人生を自分でオーガナイズするというか、プロデュースするような感覚を持ってほしい。その感覚を持っていたら、「親に言われたから」「先生に、上司に言われたから」という言葉は出てこないはず。みんなが自分の人生の責任を自分でとれるようになったらいいな~と思っていて、それが、本当に優劣もなく、一人ひとりが輝けることにつながっていくのかな……と。

A:自分が満たされるような経験をもっとしたほうがいい、ということだよね。でも、今ちょっと聞いてて思ったのは、自分を見つめたうえで客観性もほしい。例えば、アイテムや道具でも、「自分のために作りました」というものよりも、「困っている家族のために作りました」とかのほうが、実際使ってみたときに使いやすいものが多い気がするんだけど、それは客観性があるからなのかな。

S:そう思う。自分のことをわかるっていうことは、他者と自分が違うものだということが明確になることだと思うんだよね。他人と比較することがいかに無駄なのかが理解できるし、意見が合わなくても腹を立てることがなくなる。

―自分を理解することで、より客観性も高まるってことね。そういう人を増やしていくことが、これからの誠子ちゃんの取り組みになる。

S:そう。そして、感性は使わないと鈍るから。ワークショップを開催したとして、まず来てくれたがいいことだと思うから、何かを感じてもらえるようことを提供したい。

A:私は、SNS上とか、不特定多数だと誰に向かって何を言っていいかわからなくなるから、あくまでも目の前の人に向かってパーソナルに、「あなたにはこれが似合うと思う」ということをやっていきたいな。

S:そこは私も同じ。ワークショップとかも、あくまで私の手の届く範囲というか、顔の見える距離でやっていきたいと思ってる。

 

 

 

執筆/宮崎新之

 

 

 

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